そして、その銃口が全て自分に向けられているということに。
別に隠す必要とかないんじゃないかな、ということに。
自分がいままさに人を殺そうとしているということに。
そしてそれが、全てにおいての答えだったということに。
お金を手に入れたので、三人で食事をしようということに。
彼女が、こんなにもやせ細ってしまっていたということに。
目の前にいる男が、自分が知る者ではないということに。
この部屋には、自分以外にも知り合いが居るということに。
転がっている死体の幾つかに、見覚えがあるということに。
彼女達が、自分達とは違う「強さ」を持っているということに。
少女がいつだって誰かを待ち続けているということに。
自分が、すでに多くの人間に顔を知られているということに。
この人は、もう、死を覚悟しているのだということに。
魔王を倒すことにどういう意味を持つかということに。
そして彼女の正体が百年前の勇者であるということに。
『おまえたちでは絶対に俺には勝てない』ということに。
三人は気づいている、あいつが裏切り者だということに。
勝利するのは、まだまだ大きな犠牲が必要だということに。
それがあまりにも不自然な魔力量であるということに。
この髪飾りが、誰のためのものだったかということに。