静まり返った部屋の中に、外からセミの声が聞こえてくる。
しかし気がつけば、セミの声はほとんど聞かなくなっていた。
あれほど鳴いていたはずのセミも、どこかに消えてしまった。
少し離れたところでセミくんがアオくんと遊んでいる。
夕方になっても鳴きやまないセミの声が、響いてくる。
俺の視線に気が付いたセミくんが「ハッ……」と鼻で笑った。
ひとまず俺はカエルくんとセミくんから離れることにした。
セミってどうして死の間際にこうやって暴れ回るんだろう。
ニーナを解放すると、セミ男はその場にドサリと倒れた。
幹に止まったままのセミの胴体に3本の矢が突き刺さった。
ボウガンの矢はあっさりセミ型の外殻に弾かれてしまった。
AK47の安全装置を解除して、セミ・オートマチックへ。
俺はバッと振り返ってセミ野郎に金切り声を浴びせた。
しかしセミ野郎の反応速度は常人のそれではなかった。
マルコはセミの抜け殻のような表情で虚ろに返答した。
気の早いセミが既に地面から出てきて元気良く鳴いている。
オレもセミ・オートから、フル・オートへ切り替える。
セミの声はやや遠く、なおさら人の少なさを際立たせている。
突進してきたモグラさんをセミくんが器用に捌いている。
一瞬の間に入り込む7月のセミの声がやけにうるさく響く。
外ではビンビンと鳴く、セミみたいな生物が鳴いている。
今日はいっぱいご馳走があるから、セミはいいんじゃない?
即死を免れたセミは、火山を目指すように飛んでいった。
ジーワー、ジーワ、というセミの声が辺りに響いている。