この時代、ビザを取ることはなかなか難しいことだった。
しかし、欧州に行くのはいいとして・・・ビザはどうします?
次に来る時は長期滞在用のビザでも申請するのだろうか?
その不穏な空気を割って入ったのはヴィザイストだった。
ヴィザイストがいればまだなんとかなったかもしれんが……
ヴィザイストは目を見張ったかと思うと大声で笑いだした。
弾かれたように突き出されたヴィザイストの腕が交差した。
アルスとヴィザイストとの会話を途中から聞いていたのだ。
ヴィザイストの思考の揺らぎは意図したものではなかった。
そう判断したヴィザイストだが何の心配もしていなかった。
ヴィザイストは部下の一人に逃走経路の確保を命じた。
留学ビザなら簡単に下りそうな気がするんですよね……
抑揚のない声音にヴィザイストは鼻でため息を吐き出した。
確かにヴィザイストによる脚色はなされていたのだろう。
時間が惜しいことはヴィザイストも理解しているはずだ。
ヴィザイストは彼女を見て、聞いて……そっと目を閉じる。
二本の竜巻は全てヴィザイストのコントロール下にあった。
まあ、南米は今でも比較的簡単に観光ビザがおりる国が多い。
ヴィザイストの部隊はまさに諜報のエキスパート集団だ。
しかし、それをヴィザイストに伝えるべきなのかが肝心だ。
すでにヴィザイストは少女に向かって指を弾いていた。
傍で見てきたからこそ、ヴィザイストは内心で大きく頷いた。
この時点で、アルスはヴィザイストの選択に異論はなかった。
ヴィザイストの隣で補佐役としてエリーナが控えている。
決着とみたヴィザイストは少女に向かって歩き出した。
初めての動揺を見せたヴィザイストは奥歯を食いしばる。