それにしても、どうして公爵令嬢がこんなところにいるんだ?
公爵はそれだけ言うと、その場から立ち去っていった。
公爵は笑みを浮かべているが、その目は笑っていない。
それを聞いた公爵は、背中に嫌な汗が流れるのを感じた。
公爵は言葉を失ってしまったかのように固まっている。
公爵家から使いの者がやってきたのはその翌日だった。
そう言って、公爵は立ち上がりその場を去ろうとする。
エンフィールド公爵、この度はおめでとうございます。
それに対する公爵夫人の返答は、とても簡単なものだった。
あんぐりと口を開けている私を無視して、公爵は話を続ける。
爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士となっている。
つまり、公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家の順である。
オースティン公爵家の令嬢、アニエス・オースティン。
さすがに公爵家と侯爵家の問題に首を突っ込みたくはない。
俺の言葉が聞こえたのか、公爵が苦笑いを浮かべている。
公爵は難しい顔をしながら、自らの執務室に戻っていった。