どうやら、彼は竹というものを見たことが無かったらしい。
俺はアイテムバッグから久しぶりに竹の籠を取り出した。
その中には二メートルくらいの長さの竹が立っている。
名前を呼ばれた彼女は竹の前に立つと、静かに目を閉じた。
そう言って取り出したのは竹を利用した小さな水筒だ。
竹を割ったような音が頭に響き、今度は鈍い痛みが走る。
木材の種類は何でもいいんだけど、やっぱり竹が欲しいかな。
台座に立てられた竹の前に立ち、大きく深呼吸をする。
竹はそこら中に生えているので、いくらでもあるのだ。
向かいの路地に立て掛けられていた竹が音を立てて倒れる。
ただし、素材は竹ではなく、ススキのような物が使われている。
差し出された手の平には、竹の葉で包んだ握り飯があった。
するとパカーンと良い音を立てて、竹が真っ二つに割れた。
竹の水筒から一口水を口に含み、ゆっくりと飲みこんだ。
で、なんで私がこんな竹の魔物と戦っているのかというと――
竹があまりにも多く生えているので、その先が見えにくい。