シンクにあるボタンを押してみると、蛇口から水が出てきた。
上下水道が敷かれており、あちこちに上水道の蛇口がある。
次の瞬間、壊れた蛇口のように魔石から水が溢れ出した。
水道の蛇口から、ぽたりと一滴、しずくが滴り落ちた。
涙はまるで蛇口が壊れたように、次から次に溢れ出した。
水道の蛇口を締め、適当に手を拭いながら、玄関に向かった。
どれだけ時間が経っただろう、蛇口の水の音が変わる。
蛇口に手を触れてみると、それが何であるかが全て判った。
血が壊れた蛇口から溢れるように流れ、床に水たまりを作る。
そのとき、ひょっこりと流し台の蛇口から水が噴き出した。
垂れ流しだった水道に蛇口が付いたような感じらしい。
鍵穴から赤い血が、蛇口を全開にしたように噴き出した。
そう言って俺は蛇口から水を出して洗面器一杯に貯める。
指先から蛇口を少し開けたような、細い水が流れ落ちた。
そもそも頭上の蛇口を見上げる余裕など無いのだろう。
だってお父さんが蛇口を占領してるじゃないですかー。