俺の知る限りこの世界にモミジやイチョウは存在しない。
微かに銀杏の臭いがするが、悪臭を感じるほどでもない。
けれども、どうせなら焼いた銀杏をそのまま食べたい。
部下が立ち去った事を確認してイチョウは再び目を閉じる。
そう思いながら僕は銀杏を手に取り、秋の香りを楽しんだ。
薄皮を剥くと、中から翡翠色の美しい銀杏が姿を現した。
それにしても、この巨大なイチョウは樹齢二千以上なのか……。
ソフィアはそういい、銀杏を受け取って、まじまじと見つめた。
私はひとつ銀杏を手に取ると、説明しながら剥いていった。
イチョウの幹が紅いムチで叩かれて葉っぱが落ちている。
どうやら倒れたのはイチョウさん、狐の族長だったようだ。
バービーが呼ぶと、側の引き戸からイチョウが姿を見せる。
けどバルド様はその銀杏が、とても気に入ったようだ。
銀杏のような味でまぶされている塩がいいアクセントだ。
クロウは目を細めながら頷き、銀杏の葉で入れた茶を啜った。
目を細めながら構内の銀杏が散るのを見つつ、彼は呟く。
かさりとイチョウの葉を踏み、隣に立つ女性へ僕は気づく。
面白いが、銀杏の葉のような大森林の一部が黄金色に染まる。